東京労災病院では抗アミロイドβ抗体薬が対象外になる患者

以下は、ガイドラインを踏まえた東京労災病院独自の解釈です。

抗アミロイドβ抗体薬の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

 一つに過敏症がある場合に、もう一方に変更することは可能です。

抗アミロイドβ抗体薬投与開始前に血管原性脳浮腫、5個以上の脳微小出血、脳表ヘモジデリン沈着症又は1cmを超える脳出血が確認された患者

 他施設でMRIを実施してある場合も、投与前に当院のMRIで再確認します。

オンコールMRIができない患者

 抗アミロイドβ抗体薬では1.5テスラ以上のMRIが必須です。ARIAのチェックと、脳卒中時のmicrobleedsの確認のためです。

 ガイドラインでは「金属を含む医療機器(MR装置に対する適合性が確認された製品を除く)を植込み又は留置した患者は不可」とあります。

 しかし、東京労災病院では、ペースメーカーが入っているとオンコールのMRIはできません。最近はMRI対応の機種・コードがほとんどですが、MRIの前後で循環器医と臨床工学技士のチェックが義務となっています。予約ならMRIは実施可能ですが、予約外では東京労災病院では装置のチェックができません。したがって、脳卒中や症候性ARIAで搬送された際にMRIが実施できないことになります。MRI対応機種であっても抗アミロイドβ抗体薬は対象外となります。

 脳・脊髄刺激装置については、東京労災病院ではMRI実施の手続きをとっていません。したがってこちらもMRI対応機種であっても抗アミロイドβ抗体薬は実施できません。

介護者が来院できない患者

 抗アミロイドβ抗体薬ではCDRが実施判断と経過観察に必須であるが、介護者がいないとCDRは実施できません。

 ガイドラインでは「独居者の場合は、患者の周囲の者、地域包括支援センター、医療ソーシャルワーカー等の協力を得て、独居者の日常生活の様子を聴取することにより客観的な評価を行い、CDR全般スコアを評価すること」とあります。ただし、抗アミロイドβ抗体薬は軽症が対象なので、介護保険を導入していない患者がほとんどで、このサポート体制を構築するのは難しいことが多いです。独居者が、最初だけ知人と一緒に来ることがありますが、その後もサポートできるのかを確認させていただいています。

 また、介護者がいないと、帰宅後の注射反応の観察ができません。ドナネマブは注射中・直後に注射反応が出ることが多いですが、レカネマブは時間が経ってから注射反応がでます。初回やその後数回を入院で点滴を実施することを考慮する場合もあります。

6ヶ月間2週間ごとまたは4週間ごとに東京労災病院に来院できない患者

 最初の6ヶ月は初期投与施設で実施と決まっています。交通の便が良くないので...

認知機能正常(SCDなど)、あるいは MMSE-Jが19/30以下

 ガイドラインに「無症候Aβ病理を示唆する所見のみが確認できた者及び中等度以降のアルツハイマー病による認知症患者には投与開始しないこと」と明記されています。

 MMSE満点で認知機能正常とは言えません。上記の通り、30点はレカネマブの適応です。高学歴の患者は認知予備能により高得点を取ります。判断に迷う場合は、MoCAを実施しています。あるいは問診など臨床症状から判断します。

アルツハイマー型認知症以外の認知症

アミロイドPETまたは髄液アミロイドβ42/40比が正常

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